終身保険のメリット・デメリット
- 2022.04.28
- 生命保険

就職、結婚、出産、住宅購入等、ライフプランが変わると共に、自身の健康や将来について考えることも増えてくるでしょう。
そうすると、大切な家族を守る為に「終身保険に加入したほうがいいかもしれない」と考える人がいるかもしれません。
しかし保険は、一度加入すると継続的に掛金を支払い続けなければいけないものであるため、適当に加入すると、後悔につながる可能性も大きいです。
そんな失敗をしない為にも、終身保険の特徴を知り、必要か不要かを検討することをお勧めします。
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終身保険の特徴ってなに?
先ずは、終身保険とはどのような保険なのか。特徴をまとめてみました。
【大前提に“生命保険”である】
保険は、「どういうときに保険金を受け取れるか」によって、いくつかの種類に分けることができます。 終身保険は、「死亡」あるいは「高度障害」の際に保険金が受け取れる「生命保険」となっています。
【一生涯保障が続く】
終身保険と同じく、死亡時に保険金が受け取れる保険に「定期保険」などがありますが、これは、決められた期間内の死亡に限定し保障を受けることができます。
それとは逆に終身保険では、保険契約を解約しない限り、一生涯、身が終わるまで、死亡や高度障害時に保険金を受け取れる保障が続きます。
【保険料は一生涯変わらない】
毎年、あるいは一定期間ごとに保険料が上がっていく更新タイプの保険もありますが、終身保険の場合、保険料は契約時のまま一生涯変わることがありません。
終身保険の保険金は、生涯にわたって払い込む場合や、一定の期間や年齢までで支払いを終えるという契約をすることも可能です。(例:月払い/半年払い/年払い/一括払い 等、支払い方法も様々です)
例えば、60歳で支払いを完了するという契約にした場合、保険料の支払いが完了した60歳以降も、解約するか、保険料を受け取る要件に該当する状態になるまで、期間の定めなく保障を受けることができます。
保険料を、預り金から保険会社が代わりに定期的に充当していく「全期前納払い」などを選択できる場合もあります。
なお、終身保険の保険料は、支払いをまとめればまとめるほど割引き率が高くなるのが一般的で、月払いよりも半年払い、半年払いよりも年払い、年払いよりも一時払いのほうが高い割引率となります。
【解約すると解約返戻金が受け取れる】
終身保険を途中で解約した場合、「解約返戻金」という金銭を受け取れます。つまり、死亡したり、高度障害になったりしなくても、解約をすれば支払った金額がある程度戻ってきます。
場面に合わせて、お子様の教育費や老後の為の貯蓄等に解約する方もいらっしゃいます。
しかも、終身保険の解約返戻金は、契約から一定以上の期間が経てば、総払込額を上回るように設定されているのが一般的です。
ただし、一時払いで保険料を支払った場合は、契約後数年経たないと解約返戻金が払込額を下回る可能性がある為、注意が必要です。
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終身保険の種類ってなに?
【低解約返戻金型終身保険】
低解約返戻金型終身保険は、低解約払戻期間(実際に保険料を支払っている期間)が設定されている終身保険で、その間の解約返戻金が低く抑えられているという特徴があります。
多くの場合、低解約払戻期間は払込期間と同じで、60歳までに保険料を払い続ける契約の場合、60歳になる前に解約すると、解約返戻金の額が通常の終身保険よりも低くなります。 その代わり、掛金が安価に設定されている為、終身保険にてコストをあまり掛けずに、準備をしたいという方には最適な保険となっております。
【積立利率変動型終身保険】
積立利率変動型終身保険は、市場の景気によって、将来受け取れる解約返戻金の額が変動するタイプの終身保険です。多くの商品は毎月ベースで利率が変更されます。
最低保証利率が決まっており、一定額を割り込むことはありませんが、景気が悪い状況が続いた場合、多くの解約返戻金は望めないです。
【変額保険】
変額保険は、支払った保険料の一部を保険会社が資産運用することで、解約返戻金の額が変動する、投資信託の様な要素を持つ終身保険です。
【外貨建て保険】
外貨建て保険は、支払う保険料の通貨は円ですが、中身は外貨(主に米ドル、豪ドル建てが一般的です)で運用する終身保険のことです。大きなリターンが得られる可能性もありますが、為替変動によって損失が出たり、各種手数料がかかったりすることから、見た目の利率ほどのメリットを得られない可能性もあります。
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メリット・デメリットは?
【終身保険のメリット】
終身保険のメリットには、万が一の時の備えとして利用できるというだけでなく、貯蓄としての側面があるという点も挙げられます。
安い掛け金で高い保障が得られる、掛け捨て保険(定期保険)ではなく、解約返戻金が受け取れる上に、一定期間経過後(主に払込満了後)は返戻金が払込額を上回ることから、貯蓄や将来の備えとして終身保険を利用することができます。
保険料が一生涯変わらないので、貯金感覚で保険料が支払えるのも利点です。
また、保険料が変動しないため、毎月、あるいは半年や1年に1度、一定額を貯金するような感覚で支払うことができます。
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契約者貸付制度が利用できる
「緊急で資金が必要だが、解約すると損してしまう」というときに解約をせずに、契約者貸付制度により、契約を残したまま保険会社からお金を借りることができます。
なお、この制度は終身保険に限らず、解約返戻金がある保険であれば利用できます。
【終身保険のデメリット】
一方、終身保険のデメリットも、貯蓄性についての内容となっています。
終身保険は、保険と貯蓄の両方を兼ね備えた性質でありますが、その分、保険と貯蓄、どちらも中途半端で、メリットだけを考えるのであれば、保険は保険、貯蓄は貯蓄と、それぞれ目的に合わせて行うべきだと考えた方が無難です。
【早期解約すると損をする】
解約返戻金が払い込んだ保険料額を上回るまでには、かなりの期間が必要となります。(原則、払込満了後になった後に解約返戻金が上回るのが一般的です)。その前に保険を解約してしまった場合、大幅な損失が出る可能性が大きいです。
【保険料が割高】
解約返戻金がない掛け捨ての定期保険に比べて、終身保険は貯蓄性もある為、保険料が割高に設定されています。
こんな人におすすめ!
「死亡保障を充実させるのもそうだが、共に将来に備えて貯蓄もしたい」
「子供がいて、自分が万が一の場合の生活費の備えをしながら、将来の学費も貯めたい」というようなケースが、終身保険を考えるのに向いています。
お子様の進学に間に合うように払込期間を設定しておき、まとまった学費が必要となるまでのあいだは万一のときの保険として継続。
その後は解約して子供の学費として利用するといった選択的な使い方ができます。
「老後資金をある程度強制的に貯めたい」
終身保険は、払込額が解約返戻金を上回る時期までは、解約時のリスクが非常に高いです。そのため、老後まで強制的に資金を貯め続けたいと考えている人にも適しているでしょう。
ただし、貯金に比重を置きすぎた結果、現在の生活を圧迫することがないよう注意が必要です。また、近年はiDeCoやNISAなど、老後資金を貯める手段は多様化しています。
その中で、金融商品として終身保険を活用するメリットがどの程度あるのかについては、金融資産の全体的なバランスを見ながら考えた方が良いでしょう。
終身保険は長期の資金計画を立てて利用すべき
終身保険は、ある程度ライフプランが定まり、長期的な資金計画を立てられる状況になってから検討すべき保険といえます。
貯蓄の方法として、教育費は保険で準備し、老後費用はiDeCoやNISAで準備等、
お財布に色を付け、ご自身のライフプランと照らし合わせて、考えていきましょう。